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  • 執筆者の写真totto winery

ハーベストレポート2022

更新日:2022年9月12日

【はじめに】

 我々、兎ッ兎ワイナリーのワイン醸造は6年目を迎えました。2022年も『例年』という言葉には当てはまらない気象状況となり、その天候はプラスにもマイナスにも様々な影響を圃場のぶどうに及ぼしました。我々は今回、初めてハーベストレポートとして今年の天候とぶどうの成育状況、そしてワインへの期待をまとめてお届けします。


【今シーズンのぶどう総評】

3月~4月は少し寒く、ぶどうの芽吹きは全体的に遅れました。しかし、遅れたことにより、4月によく発生する遅霜の被害を免れられ、ぶどうは健全な成長をすることができました。

5月中旬からぶどうの生育速度が上昇し、全体的に枝管理が遅れました。その要因の一つに、例年よりも早い夏に近いような気候が挙げられます。5月の時点で最高気温が30度を超す日が数日あり、5月の降雨量は昨年や平年と比べてかなり少なく、48.0mmでした。5月はかなり乾いた気候が続きました。

 6月の上旬まで乾いた気候が続き、6月14日に梅雨入りしました。ぶどうにとって梅雨の気候は病害虫の被害を招くことに繋がりますが、今年の6月は乾燥した気候のため、病害虫の発生が少なかったです。

 雨量の少なさと日照時間の長さによって、果実に割れや日焼けを若干起こしましたが、ほとんどの樹で果実は充実しており、裂果や病気などによる収量減少の被害は抑えることができました。

 しかし7月は、第2週から第4週にかけて雨の多い天気が続きました。明け方や夕方に雨が降ることが多く、昨年よりは少ないものの平年以上の降水量を記録しました。

 ワイン用ぶどうの多くはこの時期に果実肥大をしていますが、肥大中に過剰な水分が果実に入ると、果実の裂果や腐敗につながる恐れがあります。また、雨は病気をぶどう畑に蔓延させる可能性があるので農薬散布をしなければなりません。

昨年の防除は3月~7月の5か月間で8回でしたが、2022年は天候に恵まれて7回に減りました。これにより、土壌への負荷も多少下げられたと考えています。

兎ッ兎ワイナリーの圃場は醸造所から徒歩5分圏内ですべての畑を見回ることができます。そのため、季節の移り変わりや急激な気候変化に対しても、畑の樹々の1本1本の枝葉を管理することができます。また、その内容をデータに落とし込むことで社内共有を図り、毎年のぶどう栽培に活かしています。

 我々のフラッグシップ品種の「ヤマブラン」「ヤマソービニオン」はともに日本のヤマブドウ交配品種であり、日本特有の湿潤な気候に耐えうる抵抗性を持っています。その性質もあり、病気の発生が最小限に食い止められたに違いありません。

 8月に入り35度を超える猛暑日が続きました。また、お盆過ぎに山陰地方では大雨となりました。収穫を目前に控えたぶどうにとって、果実の裂果や日焼けなど多くの影響を及ぼす可能性がありますが、このレポート作成時点(8月28日)では大きな被害はなく、順調に生育しています。これら充実したぶどうを用いたワインは香り高く、酸味や旨味、甘味などをより強く感じることができるでしょう。

 我々は『酸と糖度のバランスが良い健全なぶどう』を目指し、この夏を乗り切って、秋の収穫を迎えたいです。






【品種別報告】

〇ヤマブラン

ピノノワールとヤマブドウを交配した品種。

夏季高温多湿の日本での栽培を目的としたこの品種は、山梨大学で開発され、裂果しない、果粒が小さい、ワインの品質が優れているなどの特徴を持ちます。

 本年は毎年4月に起きる遅霜被害が特になく、非常に良い状態で生育しました。4月以降は天候やぶどうの生育に合わせて枝・葉の管理を行い、酸味や甘味などをできる限り引き出しました。

 本年の収穫が非常に待ち遠しい兎ッ兎ワイナリーのフラッグシップ品種です。写真は8月18日撮影。





〇ヤマソービニオン

ヤマブドウとカベルネソーヴィニョンを交配した品種。

この品種も、夏季高温多湿の日本で栽培されることを目標としたもので、山梨大学で開発されました。ヤマブランと同じような特徴を持ち、赤ワイン用ぶどうとして必要な着色についても、曇りの多い鳥取でしっかりと着色ができるぶどうです。

 こちらの品種も霜による被害をほぼ逃れることができました。充実した果実の実りがよく見られ、順調に生育をしています。このまま収穫することができれば、人

気のヤマソービニオン白の生産量も増える見込みです。

写真は8月18日撮影。


〇赤ワイン用新品種

 今冬初リリースの予定。現段階でも果実からスパイシーな香りと濃い甘味を感じられます。写真は8月18日撮影。





〇白ワイン用新品種

 今冬初リリース予定。果実からはマスカットやライチの風味を感じられ、爽やかなワインになることが期待できます。

この品種は8月19日に収穫をしました。果汁からはマスカット、ライチのような香りと強い甘味、酸味を感じられ、期待通りの結果になりました。今後の醸造が楽しみです。写真は8月18日撮影。





〇その他欧米品種  我々は上記の品種以外にも欧米品種を栽培・醸造しています。どの品種も違った個性が見られ、ワインにした際の出来が非常に楽しみです。写真は8月18日撮影、左から順にシラー、ピノノワール、グルナッシュ、シャルドネ、リースリング。



兎ッ兎ワイナリーハーベストレポート2022
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